中野区のトレカ販売会社の事務所に侵入し、ポケモンカード9枚(800万円相当)を盗んだ疑いで、同社の社長・羽根田竜樹容疑者(37)が逮捕された。盗んだカードのうち5枚を買い取り店で440万円ほどで売却していた。同容疑者は「お金に困ってやってしまった」と容疑を認めている。
このニュースを見た瞬間、なんだか胸の奥がざわついた。
ポケモンカード9枚で800万円。9枚だよ、9枚。紙の欠片みたいなものが、そんな金額になる世界がもう普通に存在していること自体、改めて不思議に思う。僕が初めてポケカに触れた頃は、まだ子どもたちが学校の帰りに駄菓子屋のガチャで出たカードを自慢し合ってるくらいの時代だったのに。
で、その9枚を盗んだのが、取引先のPRを任されていた会社の社長、羽根田竜樹さん(37)。
「忘れ物をした」と言って、食事の後に鍵を使って事務所に戻り、無人の部屋に忍び込んで……。そこまで計画的というか、むしろ不用心というか。信頼されて預けられた鍵を、そのまま悪用する形。現場の空気を想像すると、ぞっとする。
一緒に飯を食った相手が、笑顔で別れた直後に自分の会社に忍び込んでくるなんて、想像しただけで背筋が冷える。
「お金に困ってやってしまった」
取り調べでの言葉が、妙に生々しく響く。
困ってたんだろうな、とは思う。37歳で社長やってて、Web広告やらSNSマーケティングやら、表向きは順調そうに見える仕事をしてるのに、急に800万円相当のカードに手を出してしまうほどの金銭的行き詰まり。事業が回らなくなったのか、プライベートで何かあったのか。そこまではわからないけど、「お金に困って」という一言に、すごく人間らしい弱さがにじみ出ていて、憎めないような、でも許せないような、複雑な気持ちになる。
しかも、盗んだ9枚のうち5枚を買い取り店で440万円で売却。
価値を知ってるはずの人間が、相場の半分ちょっとで手放してる。焦ってたんだろうな。冷静に相場を見ていればもっと高く売れたかもしれないのに、それすらできなかった。そこに追い詰められた感じが、痛いほど伝わってくる。
トレカ業界って、ここ数年でとんでもなく熱を帯びたよね。高額カードのニュースが出るたびに「バブルだ」「いつか弾ける」とか言われてきたけど、実際、弾ける前にこんな形で個人が破綻していくケースが出てくるなんて、ちょっと予想外だった。
最後まで読んでいて思ったのは、結局「人」がやっている仕事なんだな、ということ。
いくらデジタルで、広告で、PRで、キラキラした世界を作っていても、最後は鍵一本で、信頼一本で、全部が崩れる。
羽根田さんはこれからどうなるんだろう。会社はどうなるんだろう。盗まれたカードの持ち主である販売会社の人たちは、今どんな気持ちでいるんだろう。


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