いじめ専門アカウント「デスドル」が公開した県別情報提供ランキングで、栃木県が305件で1位、沖縄県が258件で2位となりました。文部科学省の最新調査では全国いじめ認知件数が過去最多の769,022件を更新、特に栃木県の公立学校で6,865件と11%増です。投稿では学校の隠蔽体質やアンケートでは捉えきれない氷山の一角を指摘し、警察や教育委員会を動かす事例も生まれています。一部で誤情報拡散の懸念もありますが、民間活動の役割が注目されています。
このニュースを見た瞬間、胸の奥がずしりと重くなった。栃木が305件でトップ、沖縄が258件で続くというデスドルのランキング。数字だけ見ればただの順位表だけど、そこに詰まっているのは、誰かの声にならない叫びがようやく外に出てきたような、痛ましい実感だ。
デスドルというアカウント、最初は芸能ゴシップを暴く暴露系として知られていたのが、いつの間にか「いじめ撲滅委員会」を名乗って、学校内の動画や内部告発を次々に上げていくようになった。栃木のトイレ動画がきっかけで一気に火がついて、県知事が「卑怯者」とまで言わなければならなくなったあの騒動から、まだ二ヶ月も経っていないのに、もう情報提供がこんなに積み上がっている。305件。公立学校の公式認知件数が今年6,865件で11%増だという文科省の数字と並べると、確かに「氷山の一角」という言葉がしっくりくる。アンケートや学校の調査では拾いきれない、子どもたちが抱え込んでいるものが、DMやメールで一気に流れ込んでいるんだろう。
正直、複雑だ。長年教育現場を取材してきて、学校が「いじめではない」「解決済み」と小さくまとめてしまう体質には、もううんざりするほど出会ってきた。被害児童の保護者が何度も相談に行っても「様子を見ましょう」で終わってしまうケース。教師が一人で抱え込んで、結局大事になってしまうケース。そういう空気を何度も嗅いできたから、デスドルが「警察や教育委員会を動かす」事例が生まれているという部分には、素直に「ようやくか」と息を吐く自分がいる。
でも、同時に引っかかる。暴露のスピードと勢いが強すぎて、誤情報が混じったり、加害者側の少年少女がネットリンチに晒されたりする危険も、もう目に見えている。栃木のあの動画ひとつで、加害生徒の家族まで住所や職業まで掘り起こされて、YouTuberが自宅に押しかけるなんて事態も起きた。抑止力になるかもしれないけど、同時に新しい傷を作っているのも事実だ。いじめをなくしたいという気持ちは本物だとしても、その熱が暴走すると、結局また別の「いじめ」が生まれるんじゃないか。そんな危うさが、ずっと頭の片隅にある。
文科省の最新データで全国認知件数が769,022件、過去最多更新というのも、積極認知が進んだ証拠だと言う人もいるけれど、僕にはむしろ「これだけいてもまだ隠されているものがどれだけあるんだろう」という絶望感の方が強い。デスドルに情報が殺到するのは、学校や大人が信用されなくなっている証左でもある。子どもたちが「もう大人には言えない」と思って、匿名で外部に投げているんだとしたら、それは僕らが作ってきた大人の世界の失敗だ。
うまくまとめようとすると、どうしてもきれいごとになってしまう。でも本音を言うと、怒りと悲しみと、ちょっとした希望がぐちゃぐちゃに混ざっている。このランキングを見て、栃木の子どもたちは今どんな気持ちで学校に行っているんだろう、沖縄の258件はどんな背景なんだろう、と一喜一憂しながら、結局「誰かが声を上げ続けてくれないと変わらないのかもな」とため息をつくしかない自分がいる。
民間の力がここまで動かさなければ学校が動かないなんて、情けない話だ。でも動いている以上、無視はできない。デスドルがどこまで続くかわからないけれど、少なくとも今は、この305件が無駄にならないように、大人がちゃんと向き合わなければいけない時期なんだろうなと思う。少し疲れるけど、そう思わざるを得ない朝だった。



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